【第3号】2. タメになる燃油の話 その3「金額が変更になるタイミング」

前回までの記事はこちら

燃油サーチャージの説明も今回で3回目、残すところあと1回となりました。
今回は、燃油サーチャージの金額がどのタイミングで変更になるのかをお話していきたいと思います。

旅客の場合

まず旅客ですが、4/1~9/30と、10/1~3/31の年2回それぞれ設定申請が必要となります。
その際には、航空会社は燃油価格の見直し期間を2か月毎、または3ヵ月毎のどちらかを定め、燃油価格のレベルと1人あたりの燃油サーチャージ額を定めた減額基準表を設定します。
その上で、航空会社は定めた見直し期間(2か月or3か月)に燃油価格の変動を確認し、レベルが変更になった際には燃油サーチャージ額の変更申請を行います。

passenger.jpg
※ 旅客の場合は、2か月または3か月ごとに見直される(色が変わるタイミング)

貨物の場合

貨物はというと、旅客同様に設定申請時に見直し期間とkgあたりの減額基準表を定めますが、旅客と違うのは各航空会社で見直し期間を決定することができるということです。
例えば、2か月、3か月はもとより、1か月や、中には1週間や20日間という期間もあります。
設定した見直し期間毎に燃油価格を確認しますが、貨物の場合は申請時から最大6か月間の適用が可能となり、期中で変更申請を行う場合はさらに適用期間が1か月間延長となります。

cargo.jpg
※ 旅客とは異なり、最長6か月までの期間を自由に設定できる(下段のように1か月ごとにすることも、それより短くすることも可能)

この「さらに適用期間が1か月延長」というのが分かりにくいと思いますので、簡単に例を記します。

以下のような(貨物1kgあたりの収受額と減額の基準を定める)減額基準表があったとして、見直し期間を1か月としている場合:

chart.jpg

3/1~3/31の燃油価格平均がシンガポールケロシン57.00ドルだったら
⇒ 5/1~10/31適用分はレベル3の「60.00ドルを下回ったレベル」=300円で設定申請
4/1~4/30の燃油価格平均がシンガポールケロシン48.00ドルに下落したら
⇒ 6/1~11/30適用分はレベル2の「50.00ドルを下回ったレベル」=200円に変更申請

このように、申請を行う度に1か月ごと適用期間が延長されるということです。

cargo2.jpg
※ 変更申請の度に、適用期間がその6か月後まで延びている

必ず変更する場合

また、旅客・貨物ともに収受額を必ず変更しなくてはいけないときがあります。それは、各航空会社が決めた減額基準表の価格から変動した時で、特に燃油価格が下落した場合は燃油サーチャージ額の値下げが必須となります。

先ほどは貨物の例でしたが、今度は旅客で考えてみます。旅客も減額基準表の適用は同様です。
旅客ひとりあたりの収受額と減額の基準が、先ほどの減額基準表のように定められているとしたら(実際には100円単位というのはまず見かけませんが、あくまでも例として)。

10/1~適用分 シンガポールケロシンが55.00ドルの場合
⇒ 減額基準表のレベル3=「60.00ドルを下回った場合」の300円で申請
12/1~適用分 シンガポールケロシンが39.99ドルの場合
⇒ 減額基準表のレベル1=「40.00ドルを下回った場合」の100円で申請

基準表のレベルを超えて変動する場合は、必ず変更しなければならないわけですね。

燃油サーチャージ申請の注意点

ではなぜ、燃油価格が下落した場合、必ず変更申請を行わなくてはいけないか。それは、燃油コストの一部を負担してもらう旅客や貨物会社に対して不利益があってはいけないためです。本来100円だけの負担でいいのに300円払っていたなんてことになったら。。。収受する金額に齟齬があった場合は、旅客に対して払い戻しや航空局から顛末書の提出が求められるケースもあるようです。

もう一つの注意点としては、適用期間が切れないようにすることです。旅客の燃油サーチャージは設定時期が決まっているので把握しやすいですが、貨物に関しては航空会社毎に期間が異なるのでうっかり忘れないように注意が必要ですね。

今回のまとめ

・旅客の燃油サーチャージは2または3か月ごとに見直し、貨物は最長で申請から6か月間適用
・原油価格が下落すると、必ず燃油サーチャージの収受額を変更しなければいけない
・貨物の燃油サーチャージは航空会社ごとに設定期間が異なるので、うっかり期限切れにならないよう注意

以上、燃油サーチャージが変更になるタイミングの説明でした。
次回はOFCの業務と燃油サーチャージについてお話をいたします。

タイトルとURLをコピーしました