【第12号】2. 運賃の仕組みの話 その2「平日と週末」

 前回から始まりました、国際航空運賃の仕組みを基礎から学ぶ企画。
 第2回目は、週末(Weekend)運賃と平日(Weekday)運賃について。担当は引き続き、タリフセクションの柏木と冨塚です。

前回の記事はこちら

 よく運賃の話しの中で、X/W(エックス・ダブリュー)という表現を聞かれたことがあると思います。Xは平日で、Wは週末の略号です。

 運賃は需要に応じて、運賃額に差をつけて設定されています。
 需要が高い時期には運賃額を高めにしますし、またその時期の中でも週末や平日の運賃に差をつけて調整するものもあるわけです。

 このように、運賃額は細かく調整されますが、週末(Weekend)運賃と平日(Weekday)運賃は具体的に、どのように設定されているのでしょうか。

 各航空会社が設定する運賃には、運賃種別コード(Fare Basis Code)が明記されます。
 この運賃種別コード(Fare Basis Code)からX/W設定の有無を確認できることが多くあります。

 一般的にFare Basis Codeでは先頭より①予約クラス、②シーズナリティー、③曜日、の順で、③にXまたはWが明記されています。例えば下記の運賃種別コード(Fare Basis Code)では、③のところで週末(Weekend)運賃のWと平日(Weekday)運賃のXを見分けることにより、平日と週末で運賃額に差があるはずだということがわかります。

例:BLWRCI1というFare Basis Codeがあったとして

                B・・・①予約クラス
                L・・・②シーズナリティ
                W・・・③曜日
                RCI1・・・④その他の情報

 曜日運賃の規定は、それぞれの航空会社の運賃種別によっても異なります。

タリフの記載

 OFCタリフでは、【適用期間・運賃】項目に、週末(Weekend)運賃のWと平日(Weekday)運賃のXが下記のように記載されています。

例:A
week_a.jpg 往路と復路で行を分けて書かれていますから、それぞれ往路、復路を基準として、1/2往復運賃を適用します。




例:B

week_b.jpg 今度は往路の行しかありませんね。なので、往路を基準として、往復運賃全体に適用します。


規定

 それでは、下記の規定1~3の例で、どうやって適用を考えるか見てみましょう!

 日本から米国本土行で往路は日本国内を経由し、復路はホノルルを経由する旅程です。

旅程 OSA―(土曜)→TYO―(日曜)→LAX―(日曜)→HNL―(日曜)→SPK―(月曜)→OSA

【規定1】<往路・復路の両方向に曜日の規定がある場合>

 これは、往路・復路の各方向で個別に曜日が決定されます。
 注目すべきは、
● 往路は日本の最終地点から目的地域に向けて出国する曜日
● 復路は目的地域の最終地点から日本に向けて出国する曜日、または最後の国際線区間を搭乗する曜日
 となります。

 ここでは、往路の日本の最終地点は東京からロサンゼルスへ出発の日曜日。復路の最後の国際線区間はホノルルから札幌へ出発する日曜日です。
 日曜/日曜の組み合わせですね。

 上記「■ タリフ」の例Aの規程を見て、往路「W」復路「X」が適用されます。

【規定2】<往路のみに曜日の規定がある場合>

 これは、往路の国際線出発の曜日で往路・復路の運賃が決定されます。復路の曜日は問わないということになります。
 往路の国際線出発は東京からロサンゼルスで日曜日を基準に全体に適用されます。

 上記「■ タリフ」の例Bの規定を適用すると、日曜日なので全旅程に対して「W」を使います。

【規定3】<往路・復路各方向の太平洋区間の搭乗日の規定がある場合>

 これは、太平洋経由の運賃で往路、復路それぞれの太平洋区間を出発する曜日で運賃が決定されます。
 ここでは、往路の太平洋区間の搭乗日は東京からロサンゼルス出発の日曜日。復路の太平洋区間の搭乗日はホノルルから札幌の日曜日です。

 日曜/日曜の組み合わせなので、上記「■ タリフ」例Aの規程から、往路「W」、復路「X」が適用されます。
 結果として「規定1」と同じ適用ですが、旅程により最後の国際線搭乗区間が太平洋横断でない場合(札幌ではなくソウルで乗り継ぐ、など)は、復路のどの区間で判断するかが変わりますので、注意しましょう。

サーチャージでの追加

 この他にも、都市ごとで週末(Weekend)運賃と平日(Weekday)運賃が設定されていたり、最近ではQサーチャージで特定日、特定曜日、特定便の追加運賃を設定している場合もよく見られます。
 Qサーチャージで設定されている場合は、Fare Basis Codeでの週末と平日の違いはありません。
 運賃にサーチャージという形で追加されるため、運賃規則のサーチャージ項目で確認をする必要があります。

 OFCタリフの【適用期間・運賃】項目には、Qサーチャージで追加がある場合も記載があるので、ぜひ、あわせて確認してください。

今回のまとめ

・運賃のX/Wは運賃種別コード(Fare Basis Code)で確認できることも多い
・X/Wの適用は航空会社・運賃種別によって様々
・X/Wの運賃はサーチャージで追加されることもある

この記事を書いた人・・・
柏木&冨塚(タリフセクション)
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