【第37号】3. 運賃規則の雑学知識(その2)

 編集長の関本です。

 前回、都市コードに関する雑学的な知識をご紹介しました(【第36号】4. 運賃規則の雑学知識(その1))。

 今回はその続きで、都市コードと空港コードの関係について、です。「そんなの常識だよ」という方もいらっしゃるかもしれませんが、どうぞお付き合いください。

 

 

 

日本の主な都市コードを復習

 航空大国アメリカや周辺の国々に行きますと、ちょっとした都市には空港が複数あるのが当たり前。小型機専用の飛行場と、大型機や長距離便が飛ぶための大規模空港、あるいは水上飛行機のための施設なんていうのもあったりします。

 日本の場合、都市に対して空港はひとつというのが一般的。そもそも鉄道が発達していますし、アメリカに比べて国土が広くないですから、そこまで細かく航空で繋ぐという発想がない、という側面もあるかもしれません。

 ですから、福岡の都市コードはFUKで空港コードと同じ。日本国内はこのパターンで覚えやすいところが多いです。

 

 では、大都市を見て、首都東京は。

 都市コードはTYOですね。子音だけを取り出すとTKYとかでもいいのかもしれませんが、まぁ、それはそれで。

 

 大阪はOSAで、名古屋はNGO、札幌はSPKです。この辺、よく目にするのでご存知の方も多いのでは。札幌が「SPK」なのは、ちょっと法則から外れてますね。

 

 

 

都市コードと空港コードの関係

 1都市1空港の原則の中では、都市コードと空港コードは大体同じになります。

 が、複数都市があると、どうなるでしょう。

 

 東京には空港がふたつ(米軍専用の横田基地や、小型機が主で国内線しか飛ばない調布飛行場は置いといて)。言わずと知れた、羽田と成田です(ただし、成田空港の所在地は千葉県)。

 それぞれ、空港コードはHNDとNRT。わかりやすいですけど、どちらもTYOじゃないんですね。東京には、「東京」という名前を略した空港がないんです。ただ、これはそんなに珍しい例ではなくて、ロンドンもパリもニューヨークも、大規模な空港が複数存在する都市では、特定の空港を都市名とイコールにしない習慣があるのかもしれません。 

 

 ちなみに、ドイツの首都ベルリンは、長らく旧西側のテーゲル(TXL)と旧東側のシェーネフェルト(SXF)のふたつの空港があり(もうひとつ、廃港になったテンペルホーフというのもありましたが、使ったことがある方は、ほとんどいないでしょう)、ロシアのアエロフロートで到着する場合はシェーネフェルト着になるなど、戦争の面影を残す運用になっていました。

 というわけで、都市コードBERを冠した空港は存在しなかったのですが、長い時をかけてようやく2020年10月に開港した「ベルリン・ブランデンブルク国際空港」が首都の顔となり、めでたく空港コード「BER」の座を獲得。なお、ブランデンブルク国際空港はシェーネフェルトと隣り合わせ(滑走路や一部施設はそのまま流用)で、オープンに合わせてシェーネフェルトは廃港。テーゲルもブランデンブルク国際空港に統合される形で消滅し、現在、ベルリンには空港がひとつしかない状態になっていますから、「BER」を割り当てられるのも当然と言えるかもしれません。

 

 

 

札幌の謎

 ここからが、ぼくが今回取り上げたかった話です。

 札幌(都市コード「SPK」)には、ふたつ空港があります。市街地から近く、ローカル便が多い丘珠空港(札幌飛行場)「OKD」と、やや距離があり規模が大きい新千歳空港「SPK」。ほとんどの方が、北海道に行くときに新千歳空港を利用しているのではないでしょうか。

 丘珠空港は、JALグループの北海道エアシステムという会社が就航していますが、小さいです。以前、釧路からプロペラ機に乗って着いたときは、搭乗ゲートもなく、飛行機から降りて、雪の積もる日周囲の景色を眺めながら、ターミナルビルまで歩きました。

 

 そんなことはともかく、試しに日本航空のウェブサイトで札幌行きの航空券を予約してみましょう。

 東京発は「TYO」と入力すると、羽田と成田両方の便が選択肢に入ります。そして到着地を「SPK」にすると、新千歳と丘珠の両方(丘珠は東京からの直行便がないため、実際には予約候補としては出て来ない)。「CTS」だと新千歳だけに絞れます。都市と空港の関係から言って、適切な選択肢という感じでしょうか。

 

 次に全日本空輸のサイトへ。日本のトップページでは空港は選択式になっていて、3レターを入れることができないので、アメリカのページに飛びます。

 出発はロサンゼルスでもシアトルでもニューヨークでもどこでもいいんですが、目的地を「SPK」にすると、なんとエラーになります。存在しないので先に進むことができません。

 日本航空以外の航空会社では、「SPK」というのは存在しないものとして扱われていて、札幌という都市に行くためには、千歳市にある新千歳空港「SPK」を選ばなけれいけません。雪まつりに行きたい外国人が、「あー、新千歳ね」とわかってくれるのかどうか。ちょっと混乱しそうですね。

 

 ただ、これにはそれなりの理由がありまして、日本エアシステムと合併する前の日本航空は新千歳空港(古くは千歳空港)しか使用していなかったため、それを直接SPKと表す方がわかりやすい。一方で、丘珠空港を使用するローカル便を飛ばしている会社からすれば、新千歳空港をSPKにしてしまうと、丘珠空港の存在がよくわからなくなってしまいますから、IATAの空港コードに倣って新千歳空港はCTSとしていた、ということのようです。

 更に、アメリカ合衆国の運輸省(DOT)では、新千歳空港に隣接する航空自衛隊千歳基地をなぜか「SPK」としているという話もあり、こうなると、新千歳と札幌の関係がわかりません。

 

 なお、公式には新千歳空港=CTS、札幌(都市)=SPKということで、IATAに倣い、日本航空も順次システムを変更して、SPKを排し、CTSに統一してきました(旅行業界が長い方であれば、新千歳空港をCTSに統一するというお便りを目にしたことがあるかも)。

 世界中、ほかにこんなややこしい例は思い浮かびません。何とも不思議な札幌の話でした。

 

 

 

 先日、大阪に行く用事がありまして、そこはJALグループの社員なので、日本航空の便を予約したのですが、空席状況と時間帯と運賃の兼ね合いで、行きは関空着、帰りは伊丹発。間違えないか、ちょっとドキドキしました。

 羽田と成田を間違えたなんて話、都市伝説かと思っていましたけど、ぼーっとしてると本当に間違えるな、と思った次第です。皆様、ご自身が旅行するときはもちろん、お客様にご案内する際も、マルチエアポートの勘違いがないか、十分気を付けましょう。都市コードで検索すると、思っているのと違う空港を選んでいる可能性があります。

 

 それではまた。

 

この記事を書いた人:

関本(編集長)

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