【第25号】2. OFCタリフのデータ活用:旅行会社での使い方とは?(前編)

 編集長の関本です。

 年4回発行している『OFCタリフシリーズ』。書籍やWEBタリフの形で全国多くの旅行会社でご活用いただいていますが、データベース上で使えるデジタルデータでのご提供も可能です。

 

 

 ただ、このデータ、実際どうやって使えばいいのか、いまいちイメージが湧かないという方も少なくないでしょう。そこで、以前よりこのデータをご使用いただいているお客様に、活用方法など伺ってきました。

 この記事を読めば、「OFCの運賃規則データを活用すれば、海外航空券の販売チャンスが増える!」ことをご理解いただけるのではないかと思います。

 

 

こちらの企業にお話を伺いました

 今回インタビューさせていただいたのは、皆様ご存知「株式会社JTB」。OFCでは、予てより同社へ日本語運賃規則データをご提供しており、書籍販売などと併せ、大切なお客様です。

 ちなみに、本社が天王洲アイル駅のすぐ近くにあり、日本航空の本社と最寄り駅が同じことから、OFC含めJALグループ各社も交流があり、大変お世話になっています。

 

 

 お話を伺ったのは、海外仕入商品事業部航空仕入部 の中村春朝様(以下、インタビュー内では「中村」)です。
 2021年7月中旬に、編集長の関本が、オンラインで質問しながら進めました。

 

 

JTBの航空券販売について

――今日はお時間頂き、ありがとうございます。最初に、中村様の経歴を少しお聞かせいただけますか。

 

中村  はい、入社して最初は、支店で団体営業や航空手配をしていました。
 その後、海外航空手配を行う部署に異動になり、それ以降20年以上、手配やシステムといった内部での担当変更はありましたが、海外航空手配業務を担当しています。

 

TC3の某空港にて

 

――もう20年以上、海外航空手配業務専門でお仕事をされているのですね。

 

中村  そうなります。その中で以前に比較して公示運賃の重要性が増していることを実感しています。公示運賃を販売する割合も増えていますし、件数も多いですから、社内での教育の重要性も感じています。

 

――以前、セミナーを実施していただいたことがありましたが、重要性が増しているということですね。
【注】OFCでは国際航空運賃セミナーを不定期に開催していますが、個別にご依頼を頂き、2020年春、天王洲のJTB本社より全国の社員の皆様向けに同内容のセミナーを行いました。

 

中村  もちろん、運賃ルールに詳しい社員もいます。自分自身はGDS普及以前の紙のタリフを見ながら計算する基本から学んでいましたので、GDSが裏側で計算を回している仕組みを理解しています。ただGDSでの計算が当たり前の社員にとってはGDSの計算結果が全てです。勿論それ自体が悪いことではなく、時代の流れでとても効率的になっていることも事実です。

 

 

変わっていく運賃と変わらない基本ルール

――確かに、GDSで金額が出てくれば、それに疑問を挟む余地はないですからね。

 

中村  ただ、時代が変わってシステムに置き換わったとしても、手で計算していた頃のルールは生きています。
 

――仰る通りで、一般規則の書籍など見ても、昔からのルールが生き続けているものがたくさんあります。

 

中村  IATAが決めたルールを守るより、航空会社ごとに決められる幅は大きくなっています。それでも、基本のルールは変わっておらず、そこが大事だと思います。「GDSに書いてあるからその通り」ということではなく、自分で規則を理解して、運賃を計算して、説明できることが必要な場合も少なからずあります。そして、その根拠の重要な要素としてOFCが日本語にしている規則があると思います。

 

――ありがとうございます。OFCでは、社員が航空会社の資料やGDSを見ながら手作業で日本語の情報を作っています。以前、それを全てシステム化でできないか、という取り組みがありましたよね。
【注】日本発以外の運賃情報の拡充やリアルタイムに変わるGDS上の規則をより正確に反映させるため、システムがGDSの情報を読み込んで自動翻訳で日本語を表示するという検討が、10年ほど前にありました。

 

中村  ありました。自動翻訳の場合、日本語がわかりにくい部分や、不要な部分が日本語訳されて長々表示されるなどの課題も出ました。人が翻訳するのと、システムが翻訳するのと、それぞれよさはあると思います。
 当社では主に、お客様向けのウェブサイトでの航空券販売と、店頭等での航空券の販売時に使用する社内のシステムの2か所でOFCデータを活用しています。人が訳すOFCのやり方だと、現地発日本行きとか第三国間の運賃をカバーできないのが、一番大きい課題でしょうか。

 

――OFCの日本語規則は日本発運賃についてのものですので、それでご提供できない運賃の情報をどうするのかは、大きなテーマとして認識しています。ここに自動翻訳を組み合わせるなど、今後、より使いやすいデータになるよう検討と開発を進めていきたいと考えているところです。

 

中村  ぜひJTBでも更に使いやすく、お客様の役に立つデータ作成に向けて期待しています。

 

――努力します。

 

 

 ここまでは、OFCデータの使われ方や、自動翻訳などを交えた将来像といった、全体的なお話が続きました。

 
 このあと、どんなサービスで使われているのか。データそのものがどんな価値を持つのか、細かい話に入っていきます。旅行会社で航空券を販売されている方の、業務上のヒントになる話題もあるかもしれませんし、航空会社の方にもぜひご覧いただきたい内容になっています。
 どうぞお楽しみに!

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