【第25号】3. 運賃の仕組みの話 その15「必要旅行日数」

 運賃の仕組みのシリーズも15回目となりました。今回は「必要旅行日数」についてです。最近は基本的な考え方だけではなく、例外も出てきていますので併せてご紹介していきます。

必要旅行日数

 

定義

 運賃を設定するにあたり必要旅行日数を設定しますが、原則往路の最初の国際線搭乗日後に、出発国以外の最後の途中降機地点から復路の旅行を開始できるもっとも早い日を規定しています。

 弊社発行のOFCタリフやデータでは、以下のように表記しています。

 「X日発・開始」

 

必要旅行日数の満了日

 必要旅行日数満了日の午前0時01分以降にならなければ、出発国以外の最後の途中降機地点(ない場合は折り返し地点)、または目的国地域(特定地点)からの復路の旅行を開始することができません。また、太平洋区間を経由する運賃は一般的に往路の太平洋区間搭乗日を基準として、復路の太平洋区間の旅行日を決定します。

 

必要旅行日数の 数え方

 必要旅行日数の数え方は以下の表のように数えます。数え方は重要となりますので覚えておくことが必要です。

 

日数の数え方表示例往路の最初の
国際線搭乗日
必要旅行日数満了日
その日の午前0時01分以降で
あれば日本国外の最後の途中降機地点から出発できる
(太平洋運賃の場合は復路の
太平洋区間)
X日発・開始往路の最初の国際線搭乗日の翌日から数えてX日目2日発・開始9/209/20 + 2(2日発・開始)= 9/22

 

ワンポイント

 往路の最初の国際線搭乗日の翌日から数える

 

 では、ここで問題です。

【問題】以下の旅程の場合、最短で復路のマニラを出発できる日は何月何日になりますでしょうか。
往路のMNLは乗り継ぎ、CEBは折り返し地点で復路のMNLは途中降機の場合です。
解答、解説は一番下を参照ください。

必要旅行日数 :5日発・開始

 

10/1 10/2 X/X
SPK TYOMNLCEBMNLTYO SPK
乗り継ぎ折り返し地点途中降機

 

Sunday Rule

 Sunday Ruleという言葉を皆さんは知っていますか。ここ数年で必要旅行日数にSunday Ruleを適用する会社が増えてきました。

 Sundayは日曜日なのは分かるけれど、どのような条件なのか・・・

 

定義

目的国からの復路の旅行は、往路出発日の次の日曜日の午前0時01分以降まで出発してはいけないという制限です。
 一言でいうと、土曜日に滞在して日曜日になったら出発できるということです。

 余談ですが、このSunday Ruleを導入したのには、休日に現地で過ごしてもらい観光需要を高めるという背景があったようです。1日でも多く滞在してもらうのが目的ですね。

 

数え方

 数え方です。下記【例A】の規則は金曜日に日本を出発して土曜日に滞在をし、日曜日に現地を出発できます。

 

【例A】

必要旅行日数 :復路のヨーロッパ内最終地点の出発は最初の日曜日以降
 →   → 
日本出発ヨーロッパ出発




 

 

 次は【例B】の条件の数え方はどうなるでしょうか。

【例B】

必要旅行日数 :3日発・開始。ただし、ヨーロッパ内で土曜日の滞在が含まれていること
日本出発 3日目 ヨーロッパ出発








 この条件では最初に3日発・開始という条件があります。水曜日に国際線を出発するとしたら、3日目は土曜日となります。さらに「ただし、ヨーロッパ内で土曜日の滞在が含まれていること」とあるので、土曜日には出発はできません。3日目に該当する土曜日をもう1泊滞在して、翌日日曜日になったら、現地を出発できるという数え方になります。

 上記例のように、Sunday Ruleのみの条件もあれば、日にち+Sunday Ruleの条件もありますので、数え方を覚えておきましょう。

ワンポイント

  日にち+Sunday Ruleの条件もあるので注意が必要!!

必要旅行日数の例外

 冒頭に書きましたが、最近は一般的な考え方だけではなく、例外も多く見受けられようになってきました。今回はその中でも特に多い条件を紹介していきます。
 ここで、説明をする前に基本的な数え方の場合のGDS表記を紹介します。航空会社によっては異なる表記の場合もありますが、2日発・開始の条件です。

【2日発・開始】 

Fare Origin

 最近一番よく目にするのが、下記の条件でGDSにはこのように登録されています。一般的な考え方と異なるのが、一番最後が「FROM FARE ORIGIN」となっている箇所です。この場合、日本語で表記する場合は次のようになります。

【2日発・開始。旅行開始後2日目以降】

 数え方の原則は 往路の最初の国際線搭乗日の翌日から数えますが、この場合は旅行開始の翌日から数えます。
 例えば、SPK→TYO→MNL→CEB→MNL→TYO→SPKという旅程の場合は、TYOではなくSPKを出発する翌日から数えることになるのです。

 Fare Origin以外にも例外な条件が多々あります。特に最短な旅程を希望されるお客様はこの必要旅行日数が鍵となりますので、どこを基準に数えるのか正確に理解して、ご案内してください。

 

 では、ここで出題した問題の解答です。 

【解答・解説】

 解答:10/7

 解説:条件が5日発・開始となっており、そのあとに追加条件の明記がないので、基本的な考え方となります。最初の国際線出発は TYOで10/2に出発するので、翌日から数えて5日目の10/7が、最後の途中降機地点 復路のMNLを出発できる日となります。

 

 必要旅行日数は数え方を正確に覚えておかないと、手配する際旅程が合わなくなってしまうこともあります。次回は最長旅行期間の回ですが、これまた数え方が異なりますので、まずは必要旅行日数の数え方をしっかりと覚えておいてください。

 

今回のまとめ

必要旅行日数は原則、最初の国際線出発日の翌日から数える
Sunday Ruleの条件があり、土曜日の滞在が必要となる。これは観光需要を目的とした条件とも言われている
例外でよく見受けられるのが、GDS登録の一番最後が「Fare Origin」になっている条件である

この記事を書いた人:

浜田(編集部/タリフセクション)

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