【第20号】3. 運賃の仕組みの話 その10「運賃計算例外規定」その2

 運賃の仕組みはシリーズ10回目は9回目の続きです。

 運賃の仕組み「運賃計算例外規定」PART1では、どの運賃にマイレージ計算が必要なのかを説明しました。
PART2ではもう1つのHIPチェックについて説明をしてきます。

HIPチェックとは

 フェアコンポーネントの始点と終点の直行運賃より高い2地点間の運賃があるかをチェックすることです。
ただし、マイレージシステム同様に指定経路型運賃を適用するフェアコンポーネントのHIPチェックは不要です。

分かりにくいので、図を使って説明をしていきます。

[例:旅程図]

 これは17号の記事「旅行形態」で使用した周回旅行の図と同じです。
【周回B】を参考に説明します。
往路は東京からシンガポールで途中降機をしてバンコクに行き、復路はバンコクから直行便で東京に戻ってくる旅程です。

 ここでHIPチェックが必要な区間は、往路の東京―シンガポール(1)、シンガポール-バンコク(2)です。
この時、東京発バンコク行の運賃額が (1) または (2) の運賃額より低額だった場合は、高い方を適用する これがHIPチェックです。
このように中間地点の運賃額が高い場合はHIPになるのです。

 なお、復路はバンコクから東京に直行便で戻る旅程なのでHIPチェックは行う必要はありません。

HIPチェックを行う区間、比較する運賃

 HIPチェックを行うとしても、区間や比較する運賃が必要です。
以下にまとめましたので、参考にしてください。

HIPチェックを行う区間と比較する運賃

【HIPチェックを行う区間】

フェアコンポーネント内の途中降機地点のみ対象
 ・フェアコンポーネントの始点と中間の途中降機地点  
 ・中間の途中降機地点とフェアコンポーネントの終点
 ・中間の途中降機地点同士(普通運賃のみ)
 ※直行運賃のない区間は対象外

【比較する運賃】

フェアコンポーネントの始点と終点に適用する運賃と  
 ・同一クラス
 ・同一方向
 ・同一運賃種別
 ※直行運賃のない区間は対象外

おまけにチェックする地点の図も掲載しておきます。

マイレージアップ、かつHIPにかかった時は・・・

 前回で説明したマイレージもアップし、HIPチェックを行った結果中間地点の運賃額のほうが高い場合は、HIPの運賃額に対して割増し計算を行うことになります。

マイレージアップして、HIPチェックにもかかってしまうというのは、数多い地点を経由することが想定されます。

GDSにはどのように登録がされているのか・・・

 考え方が分かったところで、GDSはどのように登録されているのかを紹介していきます。

 

 まず、マイレージのチェックが必要かは、その運賃がマイレージ運賃かどうかを確認していきます。
運賃を検索した時、上のGDS画面のように運賃が表示されますが、各運賃の一番右側に「M」または「R」と表示されます。
「M」がマイレージ運賃、「R」が指定経路型運賃です。
「M」の運賃はマイレージのチェックが必要な運賃となります。

 次に、HIPチェックですが、GDSによって登録が異なる場合がありますが、特に登録されていない場合があります。

 また、最近ではマイレージ運賃でもHIPチェックは行わない運賃もありますので、必ず確認するようにしてください。

 ここで説明したマイレージ運賃、HIPチェックは運賃種別によっても異なってきます。
先週発行したOFCタリフ 日本発運賃一般規則では「運賃計算例外規定」だけではなく、運賃の基礎を詳細に説明しています。

 もっと詳しく知りたい、勉強したいという方はこちらからお申込みができます。

 
運賃計算例外規定は運賃計算の大事な基礎となります。
考え方を覚えてお客様のニーズに合う運賃をご紹介してください。

今回のまとめ

HIPはフェアコンポーネン内の途中降機地点がある場合、チェックを行う
直行の運賃額より始点または終点と途中降機地点の運賃額が高額な場合は、高額なほうの運賃額を適用する
マイレージアップ、HIPチェックの両方にかかる場合は、HIPチェックの結果適用される高額な運賃に割増しを行う

この記事を書いた人:

浜田(編集部/タリフセクション)

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