【この連載の過去記事はこちらから】
・【第36号】4. 運賃規則の雑学知識(その1)
・【第37号】4. 運賃規則の雑学知識(その2)
・【第38号】4. 運賃規則の雑学知識(その3)
編集長の関本です。
この連載では、前2回、空港や都市の3レターコードを取り上げてきました。
実は、総合旅行業務取扱管理者試験まであと1か月ほどと迫る中、海外旅行実務の中で確実に点を稼ぐには、決して落とせない、旅行業の基礎的な知識ですので、張り切っていろいろな情報を詰め込んできましたが、今回は航空会社の2レターを取り上げてみます。
国を代表する航空会社
国には首都というのが定められており、必ずしもそこが最大の人口や経済規模というわけではありませんが、とりあえず国の顔となる都市がどこなのかは、すぐにわかります。
が、民間企業主体で、ひとつの国に複数存在することが当たり前の航空会社の場合、どの会社が国を代表しているかは、よくわからないところもあります。
日本の航空会社で言えば、日本航空の2レターは「JL」、全日本空輸は「NH」です。「JL」のJはJapanなのだろうと想像つきますが、「NH」は何なのかと言うと、前身である「日本ヘリコプター」が由来だと言われています。まぁ、これは有名な話。
近隣の国に目を向けると、韓国では大韓航空が「KE」、アシアナ航空が「OZ」。KoreaのKですか、ということで、大韓航空という社名と2レターが一致しているような感じ。
中国は地域ごとに分かれた航空会社の再編が進み、最近は新興社も多いため、規模で順位付けということにもなりませんが、中国国際航空という、いかにも国を代表して世界中に飛んでいそうな航空会社の2レターが「CA」ですから、ChinaのCで想像つく範囲ですね。
他の国々も、2レターの1文字目が国名の先頭と一致している例が多いです。
ちょっと油断できないのは、たとえばカナダはエアカナダが代表ですが「AC」。CanadaのCは2文字目に来ました。こんな例もあるんですね。
カナダにCで始まる航空会社がないのかと言うと、かつてはありました。カナディアン航空が「CP」で、前身のカナダ太平洋航空=Canadian Pacific Airlinesからですね。
なぜそうなる、という決まり方の謎
イギリスはUnited Kingdom、略してUKという国名ですから、航空会社もそうなのかと思いきや、ブリティッシュ・エアウェイズは「BA」。会社名を短くしました、ということで、それはそれでわかりやすい。
「UK」という2レターの会社がないのか探してみると、ありました。インドのヴィスタラという、最近日本にも乗り入れている航空会社が使っています。なぜ「UK」なのかは定かではありませんが、世界中にどんどん増えていく航空会社を、アルファベット2文字で表そうとすると、そもそもの組み合わせに限りがありますし、こういう事態も発生します。
絶対数が足りないので、再利用も起きるのがおもしろいところ。
日本航空と合併する前の日本エアシステムは「JD」というコードを使って中国やハワイ路線を運航していましたが、この2レター、今は北京首都航空という中国の航空会社のものになっています。
かつてアメリカを代表する航空会社だったトランス・ワールド航空は「TW」。もはや存在しませんので、韓国のティーウェイ航空がそのコードを引き継いでいます。ちょうど社名にしっくりくる2レターが空いていてよかったですね。
この2レターは早い者勝ちなので、新興の会社は残っているものから選んでいかなければいけません。
民間航空が比較的早く発達したアメリカ合衆国は、わりと社名に合った2レターコードをもらっていて、たとえばアメリカン航空は「AA」、ユナイテッド航空は「UA」、デルタ航空は「DL」など、国名ではなく、それぞれの社名を尊重したつけ方で、わかりやすくなっています。
どうしても足りなくなったときは
さて、アルファベット2文字では、確かに選択肢に限りがあって、足りなくなってしまいます。現にそれは起きていて、じゃあどうするのかと言うと、「数字を組み合わせる」ことで対応しています。
日本の航空会社で見ると、ソラシドエアは「6J」、スターフライヤーは「7G」。ここまで来ると、2レターコードから航空会社名を想像することは難しいですね。覚えるしかありません。
数字をひとつ間違えると大問題で、「5Jだっけ?」と思って調べると、セブパシフィック航空が登場します。よく使う会社は、しっかり覚えましょう。
なお、様々な場面で便名を確認する際、先頭の2桁が航空会社コードになっている表示は多いです。
日本航空の111便なら「JL111」と書いてあります。これがアメリカのジェットブルーという会社だと、どうなるか。2レターは「B6」です。この会社の111便は「B6111」となりますが、6111便は存在せず、あくまでもB6の111便ですから、混乱のないようにお願いします(ぼくもときどき「どうなってるんだ?」と思うときもありますが)。
航空会社の名称と2レターコードは、国家試験にもよく出る範囲ですし、何よりも海外旅行手配の基礎ですから、この機会にしっかり覚えていただければと思います。
それではまた。
この記事を書いた人:
関本(編集長)