【第29号】1. 日本発運賃の歴史と変遷(その21)日本における初期のキャリア運賃

 前回、1994年4月版のタリフを見返しながら、各社の運賃名称についてお話しました。

 その続きというわけではありませんが、今回は運賃額や設定都市がどうだったのか、ということを見ていきたいと思います。 

 

前回までの記事はこちら

 

 

謎多きアンカレッジ

 日本航空のアンカレッジ経由ヨーロッパ路線は1991年に終了し、直行便の時代になりましたから、「アンカレッジ経由で~」という話をする人がいたら、旅行会社でも相当なベテランですね。それ以降にアラスカに行くのは、夏の釣り人か冬のオーロラ観光客か、という程度のはずですが、なぜか1994年4月版でアンカレッジ行きの設定を発見しました。

 

 

 デルタ航空のページです。今のデルタ航空をイメージすると全然違って、ノースウエスト航空と合併する前の、懐かしい時代ですね。いや、乗ったことないですけど。

 運賃表の並びから推測するに、成田から直行便が飛んでいたかもしれないシアトル、サンフランシスコ、ポートランド、ロサンゼルスあたりは、比較的安めの設定。中部や東海岸も主要都市を抑えていて便利ですねー。って、一番右。いきなりアンカレッジですよ。しかも、名古屋発のみの設定。東京はありません。

 もっと詳しく眺めてみると、概ね東海岸と同じ運賃額になっているところ、5月3日と、7月16日から19日までは割安。意外と細かい設定に感心します。

 

 しかし、なぜ名古屋からはアラスカの設定があるのか。東京はダメなのか。謎が深まります。背景をご存知の方がいらっしゃれば、ぜひ教えてください。

 

 

お得な途中降機

 JALの運賃を見てみましょう。

 

 

 上からふたつ目の表「A」と、その下の「B」にご注目ください。

 どちらも西海岸のロサンゼルスまたはサンフランシスコに行く運賃ですが、上の方は直行便利用を前提としたもので、下は途中降機が2回まで認められています。往路・復路とも1回ずつ途中降機可能になっていますから、成田からロサンゼルスでストップオーバーしてサンフランシスコへ。帰りは逆順でやっぱりロサンゼルスでストップオーバー、と乗るとお得ですかね。

 

 当然、ストップオーバーできる方が高いのであろうと思いきや、たしかにピークではそういう期間もありつつ、実はショルダーもベーシックも、途中降機できたところで運賃額は一緒なのでした。

 アメリカ国内線は、どの会社に乗ったのでしょうか。ここには掲載していませんが、規則表「参加航空会社」を見ると「連帯運送契約のある航空会社」としか書いていなくて、詳細不明。

 現在、安いPEXでは途中降機ができなかったり、1回目から途中降機料を徴収されたり、というものが少なくありません。それどころか乗り換えにもかなり厳しい条件がついて直行便以外の選択肢がないのは、他の航空会社に乗り継がれると、そちらに支払わなければいけない運賃が発生し、発券元の航空会社のただでさえ少ない収入が更に減ってしまうため、という事情があります。

 ストップオーバーに鷹揚なのは、運賃額がまだそこそこ高くて、全体的に規則が緩かった時代の雰囲気と言えるかもしれません。

 

 

 このままTC2の運賃をご紹介したいところですが、少し長くなりそうなので、続きはまた改めて。

 

この記事を書いた人:

関本(編集長)

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