【第29号】3. 運賃の仕組みの話 その19「運賃の組み立て」

 

 

 運賃の仕組みシリーズ、今回は「運賃の組み立て」について説明をしていきます。基本的なことなので「それは知っているよっ!!」という方が多いかと思いますが、復習を兼ねていただければと思います。

 

 

 

 

出発国通貨建て

 国際航空運賃は原則出発国通貨建てで設定されています。どういうことかというと、日本発であれば「日本円」、アメリカ発は「米ドル」で運賃が設定されているということです。ただし、一部の不安定な通貨を使っている国では、「米ドル」や「EUR」を通貨として設定している場合もあります。
 出発国通貨はGDSにも反映されていますので、お時間がある時に確認をしてみてください。

 

 

ワンポイントアドバイス

出発国通貨建て運賃はLocal Currency Fareともいう

 

 

異なる通貨の場合の計算

 運賃は出発国通貨建てで設定されていることが分かったところで、では、次のような場合はどのように航空運賃を算出すればよいでしょうか。それを説明していきます。

 

 

 東京を出発して、シンガポールに行き、香港まで行く旅程です。東京からシンガポールの運賃額は351,400円、シンガポールから香港までは2552シンガポールドルだとします。この場合、東京でシンガポールまで購入し、シンガポールから香港までの運賃はシンガポールで購入すれば簡単なのですが、日本で香港までの運賃を買いたい!!という人がほとんですよね。このように異なる通貨の運賃がある旅程の場合の計算は次の行程で行います。

 

 

 出発国以外の国の運賃を組み合わせる場合は、通貨を共通単位にして計算を行います。その共通単位はNUCといい、また出発国通貨建て運賃をNUCに換算するレートはROEといいます。

 図式にしたら以下のような数式になりますね。

 

出発国通貨建て運賃 ÷ ROE = NUC

 

 また、ROEはIATAで設定された換算レートであり、 毎月10日を最後とする5営業日の銀行レートの平均であり、翌月に使うことになります 。銀行レートとは違うので要注意です!!また、1NUC=1USDとなりますので覚えておきましょう。

 

 

計算の仕方

 では、上記の旅程の場合の運賃を計算してみましょう。

 まず、日本円とシンガポールドルを共通単位 NUCにします。東京-シンガポールの351,400円をNOE100で割ってNUC3514.00になります。シンガポール-香港は2552シンガポールドルなのでROE1.6で割ってNUC1595.00となります。共通単位NUCにした 東京-シンガポール NUC3514.00と シンガポール-香港 NUC1595.00 の合計 NUCを、今度は日本円に換算します。NUC1595.00にROE100を乗じて日本円にすると510,900円になるというのが今回の計算式です。

 言葉で言うと分かりにくいので、簡単な図式にしたものでご確認ください。

 ※ROEはサンプルですので、実際に計算する時はその時有効な発表されている数字をご使用ください

 

 

 

 

  GDSでは簡単に計算することができますが、考え方、計算方法を覚えておくと業務で役立ちます。
 

 ここでワンポイント!

ROEの発行は毎月10日を最後とする5営業日の銀行レートの平均であり、翌月に使うことになります。
ICER:IATA Consolidated Exchange Rates というものです。TAXの換算は運賃と別に行っており、ICERを使います。ICERは毎日(月~金)発信し、翌日0時から適用します。土曜~翌週月曜日までは同一レートを適用します。ご参考までに・・・

 

  今回は異なる出発国通貨運賃がある旅程の計算方法を主に説明してきました。旅程の中に出発国以外の国の運賃を組み合わせる場合は、運賃計算の共通単位NUCを使うということでしたね。これを覚えておいてください。

 

 

 

 

今回のまとめ

運賃は出発国通貨建てで設定されている
出発国以外の運賃を組み合わせる場合は、換算レートROEと共通単位NUCにして計算する
換算レート ROEは毎月発行され、翌月に使用する

この記事を書いた人:

浜田(編集部/商品販売グループ)

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